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ハードフォークとは、過去のルールと互換性のない、ブロックチェーンのルール変更のことです。スケーラビリティ問題の解決やコミュニティ内での意見対立により、ハードフォークが実施され、暗号資産が2つに分裂することがあります。
ニュースなどでご自身の保有している暗号資産がハードフォークされることを聞くと、何が起きるのか、現在保有している暗号資産をどうするべきか疑問を抱く人もいるかもしれません。
本記事では、暗号資産のハードフォークとは何か、ハードフォークするとどうなるか、ビットコインやイーサリアムの事例についてわかりやすく解説します。

暗号資産のハードフォークとは、ブロックチェーンのルールを根本的に変更する非互換性の高い大型アップデートのことです。ハードフォークにより、古いルールに従うノードと新しいルールに従うノード間で互換性がなくなり、ブロックチェーンが分岐し、別のチェーンとして継続するケースがあります。
暗号資産の世界では、元々からあった暗号資産を支持する人と新しく誕生した暗号資産を支持する人に分かれます。
ハードフォークが実施されると、ご自身の所有する暗号資産にも大きな影響があります。

それぞれの影響について順番にみていきましょう。
【影響1】新しい暗号資産が付与される
ハードフォークが行われ、チェーンがAとBに分裂した場合、エアドロップ(暗号資産の付与)が実施され、元の通貨Aを保有している投資家には、新しい通貨Bが同じ量(または一定比率で)付与されます。
例えば、過去のビットコインのハードフォークでは、ビットコインの保有者に同数のビットコインキャッシュが付与されました。このように、ハードフォークが行われると、対象の暗号資産を保有しているだけで、新たな暗号資産が付与されるケースがありますが、その価値は市場環境によって変動します。
ハードフォークが実施されると新しい暗号資産が付与されるという期待感から、ハードフォーク実施前に元の暗号資産の価格変動が大きくなるケースが見られることがあります。
しかし、ハードフォークが完了し、新しい暗号資産が付与されると、材料出尽くしとなる可能性があり、元の暗号資産の価格が下落する局面が見られることもあります。ただし、価格の動向は市場環境や投資家心理など複数の要因によって異なるため、一概に断言できるものではありません。 加えて、新しい暗号資産についても、すぐに売却したいという圧力から価格動向についてはさまざまな見方があります。
このように、ハードフォーク前後は、期待と不安が交錯するため、値動きが不安定になりやすい点に注意が必要です。
ハードフォークの実施が近づくと、暗号資産取引所は、対象の暗号資産の入出金や取引を一時的に停止するのが一般的です。なぜなら、ハードフォークがシステムの混乱を招いたり、後述するリプレイアタックなどのセキュリティリスクから顧客の資産を保護したりする必要があるからです。
暗号資産取引所に暗号資産を預けている場合は、取引所からのお知らせを事前に確認しておきましょう。

[小栗1] ハードフォークとソフトフォークはどちらもブロックチェーンのアップデートを指す言葉ですが、互換性に違いがあります。
ハードフォークとは、過去のルールと互換性のない、ブロックチェーンの根本的なルール変更のことです。 新しいルールと古いルールが全く相容れないため、アップデートを拒否した古い参加者(ノード)は、新しいルールで生成されたブロックを無効なデータと見なします。 その結果、台帳は強制的に二つに分岐し、コミュニティの意見がまとまらなければ、そのまま永久に分裂してしまいます。
ソフトフォークとは、過去のルールと互換性のあるルール変更を指します。新しいルールは、古いルールの範囲内でより厳格な制約を加える形で行われます。そのため、古いルールを使い続けるノードであっても、新しいブロックを受け入れることが可能です。
その結果、チェーンの分裂を避けたまま、ネットワーク全体を円滑にアップグレードできます。多くの機能追加やセキュリティ強化は、ソフトフォークによって行われます。
ハードフォークとソフトフォークの違いを表でまとめると以下の通りです。
| 項目 | ハードフォーク | ソフトフォーク |
| 互換性 | なし | あり |
| チェーンの分裂 | 分裂する | 分裂しない |
| 強制力 | 強制力がある | 強制力はない |
ハードフォークはまったく新しいシステムへの作り変え、ソフトフォークはこれまでのシステムを維持したままの改良とイメージすると分かりやすいでしょう。
コミュニティの分裂というリスクを冒してまで、ハードフォークを行う必要がある理由は、以下の2つです。
それぞれの理由について詳しくみていきましょう。
1つ目の理由は、既存のブロックチェーンが抱える技術的な問題であるスケーラビリティ問題を解決するためです。スケーラビリティ問題とは、利用者の増加に伴って処理速度が低下することで発生する送金の詰まりや手数料の高騰です。
問題を解決するため、ブロックサイズ(一つのブロックに格納できるデータ量)を引き上げるなどの対策が検討されます。しかし、ブロックチェーンの根本的なルールを変更することになるため、後方互換性のあるソフトフォークでは対応できません。
このような理由から、機能の大幅な進化や性能向上のために、互換性を捨ててでもハードフォークが実行されることがあります。
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2つ目の理由は、コミュニティ内での思想や方向性の違いによる意見の対立です。暗号資産には中央管理者が存在しないため、運営方針は開発者、マイナー(採掘者)、利用者の合意によって決まります。
しかし、スケーラビリティ問題の解決策を巡って、ブロックサイズを大きくすべきという派閥と別の技術で対応すべきという派閥が対立し、両者の溝が埋まらないことがありました。
その結果、合意を諦めた一方のグループが、自分たちの理想とするルールでハードフォークを実行し、新しいチェーンとして独立しました。
過去の暗号資産の歴史において、ハードフォークが実施された事例は主に3つあります。
ハードフォークが実施された背景について順番にみていきましょう。
ビットコインキャッシュ(BCH)の誕生は、スケーラビリティ問題の解決策を巡る対立が原因です。2017年、ビットコインは利用者が急増し、処理能力の限界を迎えていました。
解決策として、Segwit(ソフトフォーク)で対応しようとする開発者コミュニティに対し、ブロックサイズ(容量)の拡大を主張するマイナー(採掘者)を中心としたグループが強く反発します。
両者の合意は得られず、後者のグループは元のビットコインから離脱し、ブロックサイズを大幅に引き上げた独自のチェーンを始動させました。 こうして誕生したのが、ビットコインキャッシュ(BCH)です。
ハードフォークによって誕生したビットコインキャッシュ(BCH)も、1年後の2018年に再びハードフォーク(再分裂)が実施されました。なぜなら、BCHの今後のアップデート方針を巡り、コミュニティ内で再び深刻な対立が生まれたためです。
一方は、BCH(当時はBitcoin ABCと呼ばれた開発チームが主導)の既存のアップデート案を支持し、もう一方は、ブロックサイズをさらに巨大化させ、サトシ・ナカモトの当初のビジョン(Satoshi’s Vision=SV)に戻すべきだと主張しました。
この対立はマイニングパワーを競うハッシュウォーにまで発展し、最終的にビットコインSV(BSV)がBCHから分裂・誕生しています。
イーサリアムの最初の大きなハードフォークは、2016年のThe DAO事件が引き金となりました。The DAO事件とは、イーサリアム上の投資ファンドプロジェクト「The DAO」の脆弱性を突かれ、当時の価値で巨額の資金がハッキングされた事件です。
盗まれた資金を取り戻すため、イーサリアムコミュニティの大多数は、ハッキングが起こる前の状態に取引履歴を巻き戻すハードフォークを選択しました。
しかし、ブロックチェーンは不変であるべきだとしてこの変更を拒否した人々が、元のチェーンを維持するためにハードフォークを実施して、イーサリアムクラシック(ETC)が誕生しました。
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保有している暗号資産のハードフォークが発表された際は、正確な情報を把握した上で対応を検討することが重要です。
以下の行動を取ることで、リスク軽減につながる可能性があります。
それぞれの行動について順番にみていきましょう。
ハードフォークが迫った時、投資家が取るべき行動は、正確な情報を確認することです。SNS上の噂や憶測に惑わされるのではなく、ハードフォークを実行するプロジェクトの公式ウェブサイトやSNSアカウントからの発表、資産を預けている暗号資産取引所のお知らせを確認しましょう。
特に、取引所がハードフォークに対応するのか、いつから入出金が停止するのか、といった情報は資産に直結するので、事前に確認しておくことが重要とされています。
新しい暗号資産のエアドロップを確実に受け取るためには、ハードフォークの瞬間に元の暗号資産をどこで保有するかを決めましょう。
暗号資産取引所が新しい暗号資産の付与に対応すると発表した場合、そのまま取引所に預けておく方法が簡単かつ手間がかかりません。
しかし、取引所が対応しない場合や、セキュリティに不安がある場合は、ご自身で秘密鍵を管理するウォレット(ハードウェアウォレットやソフトウェアウォレット)に資金を移動させておきましょう。
ハードフォークは暗号資産の価格を大きく動かす可能性の高いイベントのため、事前のポジション確認が選択肢の一つです。
特に、レバレッジをかけた取引をしている場合、ハードフォーク前後の急騰や急落によって強制的にポジションがロスカットされるリスクがあります。
資産を守るためにポジションの見直し、保有状況の見直しを検討する投資家もいます。

暗号資産のハードフォークには投資家が知らないと損失につながるリスクもあります。
ハードフォークが予定されている暗号資産は、以下のようなリスクが指摘されています。
ハードフォークのリスクの一つに、リプレイアタックがあります。リプレイアタックとは、分裂した両方のチェーンの取引データ形式が似ている場合に発生する攻撃です。
例えば、分裂後に新しい暗号資産Bのみを誰かに送金したつもりが、その送金データが元の暗号資産Aのチェーン上でも再生(リプレイ)されてしまう現象です。その結果、意図せずに暗号資産Aも同じアドレスに送金されてしまうことがあります。
このような事態を避けるためには、両チェーンで取引形式を根本的に変えることや取引データに特定の識別子を含めるなど、リプレイプロテクションが必要です。
リプレイプロテクションが不十分な場合、取引所の対応が完了し、安全性が確認されるまで、個人での送金(移動)は控えるのが無難です。
ハードフォークによりコミュニティが分裂した後に、どちらの暗号資産も共倒れするリスクがある点に注意が必要です。
暗号資産の価値は、技術開発を行う開発者コミュニティと、ネットワークの安全性を維持するマイナーの力によって支えられています。しかし、ハードフォークによってこれらのリソースが二つに分散すると、新旧どちらのチェーンも開発力が低下し、マイナーの減少でセキュリティが脆弱になる可能性があります。その結果、どちらの通貨も信頼を失い、長期的な評価に影響を与える可能性も指摘されています。
ハードフォークは、ブロックチェーンのプログラムコードに根本的な変更を加えるため、新コードに予期せぬバグや脆弱性が潜んでいるリスクを伴います。この混乱や検証不足の時期を狙って攻撃を仕掛けてくる可能性があります。そのため、新システムが安定稼働するまでは、こうした技術的リスクが高い状態にあることを認識しておかなければなりません。
ハードフォークで新しい暗号資産を付与された場合、一部の税務当局の見解では、暗号資産を受け取った時点では原則として課税は発生せず、新しく取得した暗号資産の取得価額は0円として扱われます。なぜなら、付与された時点ではまだ市場価格が形成されておらず、価値が0円とみなされるためです。
税金が発生するのは、新しい暗号資産を売却(日本円に交換)したり、他の暗号資産と交換したりした時です。取得価額が0円であるため、売却して得た金額のすべてがそのまま利益(雑所得)となります。
よって、取得価額0円の新しい暗号資産を1枚5万円で売却した場合、5万円全額が課税対象となります。無料でもらったものでも、税務上の取り扱いについては、管轄の税務当局または専門家にご確認ください。
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ハードフォークとは、暗号資産が直面する問題を解決し、進化していくために必要なプロセスです。過去にはビットコインやイーサリアムなど有名な暗号資産が分裂したこともあります。

投資家としては、ハードフォークを恐れるのではなく、背景にある理由を知りつつ、資産を守ったり市場動向を踏まえて判断することが重要です。
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