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日本では2022年4月以降トラベルルールを導入する暗号資産取引所が増えたことで、従来よりも暗号資産の送金の手間が増えるようになりました。

トラベルルールとは、利用者の依頼を受けて暗号資産の送付を行う暗号資産交換業者は、送付依頼人と受取人に関する一定の事項を、送付先となる受取人側の暗号資産交換業者に通知しなければならない」というルールのことです。マネーロンダリングやテロ資金供与といった金融犯罪を防ぐ目的で、国際的な政府間機関であるFATF(金融活動作業部会)が定めています。
暗号資産取引所は、以下のトラベルルールに従って利用者の情報を確認・記録し、必要に応じて共有しなければなりません。
• トラベルルールの通知対象国が決められている
• 送金人と受取人の情報を対象国で共有・通知しなければならない
• 原則送金する金額にかかわらず対象となる
• 異なる送金システムを採用している取引所同士の送金はできない
トラベルルールには、通知の対象となる国や地域が明確に定められています。
その理由は、FATF(金融活動作業部会)が国際的な基準として勧告しており、各国がその勧告を自国の法律や規制に落とし込んで適用しているためです。つまり、すべての国や地域で一律にトラベルルールが適用されるわけではなく、国によって適用範囲が異なることがあります。
実際、FATFの勧告に積極的に準拠している国と、まだ法整備が十分に進んでいない国では、トラベルルールの運用に差が出ることが考えられます。
暗号資産を海外に送金する際には、送金先の国がトラベルルールの通知対象となっているかを確認しましょう。トラベルルールの対象国でなければ、その国に拠点を置く取引所への送金は、情報共有の対象外となる可能性が高いでしょう。
とはいえ、各国の金融当局が独自に情報を収集・分析する可能性があるため、利用者は送金を行う前に送金先の国や取引所がトラベルルールにどのように対応しているかを、その国の法律や取引所の公式サイトなどで慎重に確認しましょう。

トラベルルールでは、暗号資産の送金時に送金人と受取人の情報を対象国で共有・通知しなければなりません。
対象国に共有・通知すべき情報は以下の通りです。
• 送金人(利用者)の氏名
• 住所
• 口座情報
• 送金の目的
さらに、これらの情報は、暗号資産を受け取る取引所にも正確に伝える必要があります。
この仕組みにより、誰が、どのくらいの暗号資産を、誰に、どのような目的で送ったのかという資金の流れが明確に可視化されます。万が一、暗号資産がマネーロンダリングやテロ資金供与といった金融犯罪に利用された場合でも、資金の経路を迅速かつ正確に追跡することが可能です。
トラベルルールの対象国に暗号資産を送金する場合は、正確な情報を提供しなければ、送金の遅延や取引の拒否につながる恐れがあります。
トラベルルールは、原則として送金する金額にかかわらず対象となるので注意が必要です。
この原則の背景には、少額の取引であっても、積み重なることで大きな不正資金の流れを形成する可能性があるという考え方があります。
犯罪組織は、摘発を避けるために少額の取引を繰り返して資金を移動させる「ストライピング」と呼ばれる手法を用いることが知られており、トラベルルールはこの手の動きを阻止する狙いがあるのです。
また、日本の取引所については「移転する暗号資産が10万円以下なら情報申告は不要」と誤解されがちですが、実際にはそうではなく、金額、銘柄にかかわらず受取人の情報の登録が求められます。
トラベルルールに準拠した暗号資産取引所間で送金を行うためには、共通の送金システムを採用している必要があります。
現在、トラベルルールに対応するためのソリューションは複数開発されており、主要なものとしては、日本の取引所が導入している「Sygna Hub」や、国際的に利用されている「TRISA」「TRUST」などがあります。
すべての取引所が同じシステムを導入しているわけではなく互換性もないため、異なる送金システムの取引所への送金はできません。
したがって、Sygna Hubを採用している取引所からTRISAを採用している取引所への送金はできません。
トラベルルールが導入された背景には、暗号資産がマネーロンダリングやテロ資金供与といった金融犯罪に悪用されることがあります。
従来の銀行システムとは異なり、暗号資産は匿名性が高く、国境を越えた迅速な送金が可能であるという特徴があります。
一般の利用者にとって利便性が高いことはもちろん、犯罪者にとっても資金の出所を隠したり、非合法な活動の資金調達を行ったりする上で利用しやすい決済手段となりました。
このような状況を放置すれば、国際社会全体の金融システムにおける健全性を脅かすため、各国政府や国際機関の間で強い懸念が表明されました。
そして、国際的な金融規制機関であるFATF(金融活動作業部会)が主導し、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する新たな規制枠組みの策定を急ピッチで進めたのです。
2019年6月には、FATFがVASPに対して、銀行などの伝統的な金融機関と同様に、顧客確認(KYC)や取引監視、トラベルルールを含む厳格な勧告を採択しました。
この勧告により、暗号資産取引所などの事業者は、利用者情報の収集・共有を義務付けられることになったのです。
日本においても、2022年4月1日に金融庁の要請を受けて一般社団法人日本暗号資産等取引業協会が定める自主規制として導入し、2023年6月1日には金融庁が「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」などの関連法令を改正し、暗号資産のトラベルルールの実施が取引所に義務付けられました。
以下は国内外の暗号資産取引所のトラベルルール対応状況です。
| システム | 導入している主な暗号資産取引所 |
| TRUST | Coincheck coinbase BITPOINT BINANCE.US bitFlyer Bitget BitMEX BITREX Kraken |
| Sygna | bitbank MEXC Global SBI VC Trade GMOコイン Zaif BitTrade OkCoin Japan Pionex |
| Global Travel Rule | Binance japan |
まずは、ご自身が口座を持っている暗号資産取引所同士での送金が可能か確認しましょう。
トラベルルールが導入されて以降、以下のような影響が出るようになりました。
暗号資産を送金・出金する際に重要なため、必ず理解しておきましょう。
トラベルルールが適用されたことで、暗号資産を送金する際に、これまでよりも送金先の情報を詳細に入力する手間が増えました。
トラベルルール導入以前は、送金先のアドレス(ウォレットアドレス)を入力するだけで送金手続きが完了できるケースがほとんどでした。しかし、トラベルルールの導入後は、送金元の取引所が送金人の情報だけでなく、受取人の氏名、住所、受取人の暗号資産取引所名といった、より詳細な情報を収集し、記録することが義務付けられています。
送金の手間が増えたことは、初心者だけでなく頻繁に送金する人にとっても、時間的・精神的な負担となります。さらに、入力情報が増えることで誤入力するリスクが高くなり、最悪の場合、送金失敗や資金紛失につながる可能性もあるため、慎重に確認しなければなりません。
トラベルルールの導入により、以下のケースに該当する場合、暗号資産取引所への送金ができなくなりました。
例えば、日本の国内取引所が「Sygna Hub」や「TRUST」を導入している一方で、海外の小規模な取引所がこのシステムに対応しておらず、独自のトラベルルール対応も不十分な場合、日本の取引所から海外取引所への直接的な送金ができません。
希望する暗号資産を特定の取引所に送金するためには、一度プライベートウォレットを挟むなど、迂回ルートを経由しなければならなくなりました。
送金を行う前には、送金したい暗号資産取引所間でのトラベルルールの対応状況について、各取引所の公式サイトで確認しておきましょう。
トラベルルールの導入により、暗号資産の入金や出金に従来よりも時間がかかるようになりました。
取引所が送金人と受取人の情報を確認し、記録するプロセスが加わったため、送金の情報に不備があったり、取引所がマネーロンダリングやテロ資金供与が疑われる内容が見つかった場合、追加の本人確認や情報確認作業が厳密に行われるためです。
例えば、氏名や住所に誤りがある、ウォレットアドレスと申告された受取人情報が一致しないなどのケースでは、取引所から確認の連絡が入り、対応に時間がかかります。
暗号資産の入金や出金をする際は、多少送金スケジュールが遅れても問題ないように余裕を持って手続きを進めましょう。
トラベルルールに基づく取引所の審査によっては、送金ができないことがあります。
特に、取引がマネーロンダリングやテロ資金供与のリスクが高いと判断される場合は、送金できなくなることがあるので注意が必要です。
例えば、送金先の情報が不明確であったり、過去に不正利用された履歴のあるウォレットアドレスへの送金であったりする場合、取引所は顧客保護や法令遵守の観点から、送金を一時停止または最終的に拒否するという判断を下すことがあります。
また、頻繁に少額送金を繰り返す行為や、特定の危険国・地域へ送金する行為も、取引所の監視対象となり、審査が厳しくなる要因となり得ます。
一時的な資産の凍結や移動ができない事態を避けるためには、情報を正確に入力し、疑わしい目的で送金しないことが重要です。
トラベルールでは、同じシステムを採用している取引所間なら影響を受けることなく送金ができます。しかし、同じシステムを採用している取引所間であっても、一部の暗号資産銘柄が送金できないことがあります。
例えば、ある取引所ではトラベルルールが適用される国内外の取引所へビットコインやイーサリアムは送金できても、リップルやビットコインキャッシュは送金できないことがあります。
そのため、送金したい暗号資産が送金先の取引所へ送れるかを事前に確認しておきましょう。
トラベルルールの適用で不便になったと感じる人もいるでしょう。実はトラベルルールを回避して暗号資産を送金することも可能です。
それぞれの方法について詳しく解説します。

1つ目の回避する方法は、プライベートウォレットを利用することです。
プライベートウォレットとは、利用者自身が暗号資産の秘密鍵(Private Key)を完全に管理するウォレットのことです。有名なものを挙げると、MetaMask(メタマスク)やLedger(レジャー)などがあります。
例えば、それぞれ異なる送金システムを採用しているA社からB社へ暗号資産を送りたい場合、そのまま送金しようとしてもトラベルルールにより送金ができません。ただし、以下のようにプライベートウォレットを挟めば、A社にある暗号通貨をB社へ送金可能です。
この方法なら、トラベルルールに基づく「暗号資産サービスプロバイダー(VASP)間の情報共有義務」の対象外となります。
ただし、プライベートウォレットを利用するとガス代(送金手数料)が発生するので注意が必要です。おすすめの仮想通貨ウォレット6選! 安全な選び方を解説!

2つ目の回避する方法は、同じシステムを採用している国内取引所に送金することです。
日本の暗号資産交換業者(取引所)の多くは、「Sygna Hub」や「TRUST」などのシステムを導入しています。このシステムは、日本の主要な取引所間で必要な情報を効率的にやり取りできるように設計されており、トラベルルールに準拠しつつも利用者の利便性を損なわないように配慮されています。
同じシステムを導入している取引所間であれば、暗号資産を送金する際に必要な情報が、システム上で自動的かつスムーズに共有されるため、利用者が手動で多くの情報を入力したり、別途本人確認書類を提出したりする手間が大幅に削減されます。
つまり、トラベルルールがあっても迅速かつ確実に暗号資産を送金可能です。
3つ目の回避する方法は、P2P取引(個人間取引)で入金することです。
P2P取引とは、暗号資産取引所のような中央集権的な仲介者を介さずに、個人間で直接暗号資産を売買する形式のことです。この方法では、ブロックチェーン上での送金は行われますが、取引所が関与しないため、トラベルルールに基づく情報共有義務の対象外となります。
特に海外の取引所が提供しているサービスなら取引所が間に入ってくれるので、ある程度安心して暗号資産を売買できます。
とはいえ、海外の取引所は日本の法律が適用されないため、100%安心とまではいえません。
なお、P2P取引を利用する際には、詐欺のリスクを最小限に抑えるために、必ず信頼できる相手とのみ取引を行い、可能な限り少額から始めるようにしましょう。
P2P(ピアツーピア)とは?仕組みや活用事例をわかりやすく解説
4つ目の回避する方法は、通知対象国でないオフショア取引所を使うことです。
オフショア取引所とは、タックスヘイブン(租税回避地)など、暗号資産に対する規制が比較的緩やかな国や地域に拠点を置く暗号資産取引所のことです。
これらの国や地域は、FATFのトラベルルール勧告に完全に準拠していなかったり、独自の規制を採用していたりします。トラベルルールに基づく情報共有の対象外となるため、送金に関する手間や制約を回避できる可能性があります。
ただし、オフショア取引所は、日本の金融庁や各国の金融当局の規制の対象外であるため、ハッキングなどのセキュリティリスクがあったり、顧客資産の保護体制が十分でなかったりすることも珍しくありません。
また、将来的に国際的な圧力によりトラベルルールへの準拠を求められる、あるいは完全に閉鎖される可能性も十分にあります。
トラベルルールを回避することは可能ですが、以下の点に注意が必要です。
それぞれの注意点について順番に見ていきましょう。

トラベルルールを回避するための手段として現在有効な方法であっても、将来的に各国の規制強化により、その方法が利用できなくなる可能性があります。
FATFの勧告は国際的な基準であり、各国政府はマネーロンダリングやテロ資金供与対策を強化するために、常に法整備を進めています。暗号資産市場の成長と犯罪利用の懸念の高まりに伴い、規制当局は監視の目を強め、これまで規制の対象外であった領域にも手を広げる傾向にあります。 例えば、P2P取引や特定のオフショア取引所を利用してトラベルルールを回避していたとしても、法改正によってその方法が違法となったり、利用が制限されたりするかもしれません。過去には、
匿名性の高い暗号資産が規制強化の対象となり、主要な取引所での取り扱いが停止された事例も存在します。
突然、資産を動かせなくなったり、利用していたサービスが停止されたりするリスクもあるので注意が必要です。
トラベルルールを回避するために、特定の送金方法や取引所を利用すると、手数料が増加したり送金が遅延することがあります。
なぜなら、複数の取引所やプライベートウォレットを経由して暗号資産を送金する迂回ルートを選択すると、ブロックチェーンのネットワーク手数料(ガス代)が徴収される回数が増えるため、コストも大幅に増加する可能性があるからです。さらに、複数のウォレットや取引所を管理する手間も増えるので、時間的なコストもかかる可能性があります。
また、異なる送金システムを採用している取引所を介したり、規制の緩やかなオフショア取引所を利用したりすると、送金処理に予期せぬ時間がかかったり、技術的な問題で遅延が発生したりするかもしれません。
追加で発生するコストや遅延するリスクを比較検討した上で、慎重に判断しましょう。
トラベルルールを回避するために、複数の取引所を介したり、P2P取引を利用したりすると、税務処理が複雑になる可能性があります。
暗号資産の取引で得た利益は、日本では所得税の課税対象となりますが、トラベルルールを回避するような複雑な送金経路をたどると、個々の取引履歴の追跡が困難になり、正確な損益計算が難しくなるかもしれません。
特に、規制の緩やかなオフショア取引所を利用した場合や、P2P取引で現金と暗号通貨を交換した場合、取引の記録が明確に残らないことがあります。
その結果、確定申告の際に、適切な税額を算出できなかったり、税務署からの問い合わせに対応する際に、取引の根拠となる証拠を提示できなかったりするかもしれません。
最悪の場合、税務調査の対象となり追徴課税や加算税が課せられるリスクもあるので、暗号資産の入出金、売買、交換に関する取引を詳細に記録しておくことが重要です。
トラベルルールが適用されることで、暗号資産の送金時に手間や時間がかかるようになりました。しかし、プライベートウォレットやP2P取引などを利用すれば、トラベルルールを回避できます。
暗号資産の送金が面倒に感じる場合は、暗号資産そのものを送金するよりも海外FX業者の暗号資産 CFDで取引をして、日本円で出金する方法を考えましょう。トラベルルールを気にせずに入出金ができるので、トレードに集中できます。
FXGTでは、最大1,000倍のレバレッジで暗号資産 CFD取引ができるので、少額から多くの利益を狙うことができます。ぜひ、この機会に口座開設してみてください。