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投資をする際には、全額を運用に回すのではなく、いくらかを貯金として残しておく必要があります。とはいえ、現金比率やポートフォリオは、年齢や世帯によって異なるため、いくら残すべきか分からない方もいるでしょう。
本記事では、投資する際に現金を残すべき理由や年代別に見る現金比率、ポートフォリオについて解説します。

一般的に投資では多くのお金を持っている方ほど大きな利益を狙いやすいといわれています。投資未経験者や初心者の中には、持っている資金の全額を口座に入金して投資を始めようとする方もいます。
しかし、投資を検討する際に資金の全額を投入することは推奨できません。
ここからは、投資する際に現金を残すべき理由について詳しく解説します。
1つ目の理由は、緊急時の生活防衛資金を確保しておくためです。生活防衛資金とは、病気やケガ、急なリストラなど、予期せぬ事態が起こった場合に、当面の生活費をまかなうための資金のことです。
生活防衛資金を確保していなかった場合、予期せぬ事態が起きた際に資産を売却すると損をする可能性が高くなります。
一方で、最初に緊急時の生活防衛資金を除いて残った金額のみを入金していれば、予期せぬ事態が起きても資産を売却せずに済むので、途中で投資を止める必要がありません。
そして、生活防衛資金の目安は、一般的に生活費の3カ月〜6カ月分といわれています。つまり、毎月の生活費が20万円の場合は、60万円〜120万円を現金で用意しておくことが理想です。
ただし、この金額はあくまで目安に過ぎないため、自営業のように収入が不安定な仕事をしている方は、余裕を持たせてお金を用意しておいたほうが安心です。
2つ目の理由は、投資では、一時的に相場全体が下落する局面が訪れることがあります。こうした場面では、すでに投資を行っている資産について、追加で投資するかどうかを検討できる余地が生まれます。

ただし、相場の動きは予測が難しく、必ずしも想定通りに回復するとは限りません。そのため、追加投資を行うかどうかは、リスクや資金状況を十分に考慮したうえで慎重に判断する必要があります。
あらかじめ一定の現金を手元に残しておくことで、相場変動時にも選択肢を持った判断がしやすくなる点は、現金を確保しておく一つのメリットといえるでしょう。
例えば、現在のドル円が150円のときに、今後ドル円が160円になると考えてロングポジション(買い)を保有したものの145円まで下落したケースで考えてみましょう。
追加で入金できる資金がない場合、下落が止まるのを待つしかありません。その後160円まで上昇したとしても得られる値幅は1,000pips(10円)のみです。
160円(決済した価格)-150円(エントリーした価格)=10円分(1,000pips)
しかし、取引口座以外にも資金を持っていた場合、取引口座に入金して追加でロングポジションを保有できます。
その後に160円まで上昇した場合、150円で保有したポジションと145円で保有したポジションから利益を得られます。
160円(決済した価格)-150円(エントリーした価格)=10円分(1,000pips)
160円(決済した価格)-145円(エントリーした価格)=15円分(1,500pips)
10円分(1,000pips)+15円分(1,500pips)=25円分(2,500pips)
さらに最初の価格よりも安い価格で買付ができることから、平均取得価格も下がるため、目的に応じた検討がしやすくなります。
このように、保有している現金を全額投資に回すのではなく、一部の現金を残しておくことで、投資のチャンスを逃しにくくなります。
投資に回すお金と貯金のバランスは、個人の状況によって最適な割合が異なります。
ここでは、投資・現金の理想的な比率を考えるポイントを解説します。
最初に明確にするべきことは投資の目的や期間から考えることです。なぜなら、同じ投資でも、目的や期間によってリスクの取り方が変わるため、合わせて現金の割合も調整する必要があるからです。
例えば、10年後の子どもの教育資金や、20年後の老後資金など、長期的な目標がある場合は運用期間が長いため、多少のリスクを取ってでも高いリターンを目指せます。この場合、現金の比率を低めにして、株式や投資信託など、成長性の高い資産に多く投資するのが一つの考え方です。
一方で、数年後に住宅や車など高額の購入資金が必要な場合は、投資期間が短いため元本割れのリスクを避けることを優先すべきです。その理由は、投資期間が短いと、一時的な相場の下落から回復する前に売却しなければならないことがあるので、大きな損失を被る可能性があるからです。
現金の比率を高めに設定し、安全性の高い資産を多く持つことで、必要な時に確実に現金を用意できるようにしましょう。
投資における現金比率は、年齢やライフイベントによっても調整することが大切です。
人生のステージによって、リスクを取れる度合いや、まとまったお金が必要になるタイミングが異なります。
一般的に、年齢が若く、収入がこれから増える見込みがある場合は、多少のリスクを取ってでも積極的に投資して問題ありません。株式に投資して、一時的に資産が目減りしても、これから期待できる収入で十分に取り戻す時間が有ります。
しかし、結婚や子どもの進学など、まとまったお金が必要になるライフイベントが多く控えている場合は、投資に回しているお金が一時的に必要になる可能性を考慮し、現金比率を一時的に高めることも検討すべきです。
また、リタイアの時期が近づくにつれて、資産を大きく減らすわけにはいかなくなります。一般的に、年齢が上がるにつれてリスク許容度が下がるため、年齢とともに現金比率を高めるという話も多く上がります。
例えば20代なら現金20%、投資80%、40代なら現金40%、投資60%といった具合に、年齢=現金比率という考え方など、年齢に応じて現金比率を調整する考え方は一部で紹介されることがあります。
注意が必要なのは、必ずしもすべての人に当てはまるものではありません。
実際には、収入の安定性や家族構成、保有資産の規模、今後予定しているライフイベントなどによって、適切な現金比率は大きく異なります。一つの考え方としてとらえましょう。
年齢はあくまで判断材料の一つとして捉え、自身の状況に合わせて柔軟に考えることが大切です。

投資に回すお金と現金の比率を考える上で、リスク許容度は最も重要な要素の一つです。
リスク許容度を超えて投資すると、日々の価格変動が気になって精神的に疲れてしまったり、一時的な下落で慌てて売却してしまったりする可能性があります。
少しの値上がりでも不安に感じてしまう方は、現金比率を高く設定しましょう。一方で、価格が大きく値下がりしても、長期的な成長を信じて持ち続けられる方は、現金比率を低くして積極的にリスク資産に投資できます。
リスク許容度は、資産の大小や収入の安定性はもちろん、個人の性格や投資経験によっても大きく変わります。ご自身にとって、無理なく続けられるような現金比率を見つけることが大切です。
投資する際に現金をいくら残すかは、現時点の年齢によっても変わってくるので注意しなければなりません。
なぜなら、人生のステージによって、収入や必要な支出、使える時間などが異なるためです。
ここからは、20代〜50代の年齢別に現金比率や推奨されるポートフォリオについて解説します。
20代から順番に見ていきましょう。

20代は、投資を始めるのに最適な時期です。これから先、数十年という長い時間をかけて資産を育てていくことができるため、現金比率を低めに設定し、株式や投資信託など成長性の高い資産に積極的に投資するのが一般的な考え方です。
投資手法には、株式や投資信託のほか、さまざまな金融商品が存在します。ただし、仕組みが複雑で価格変動の大きい商品もあるため、十分な知識や経験がない状態で安易に取り組むことは避けるべきです。
20代であっても、まずはリスクを抑えた形で投資の基本を理解し、自身のリスク許容度に合った方法を選択することが重要です。
生活防衛資金として毎月の生活費の3カ月分〜6カ月分程度を現金で用意しておくことは忘れないようにしましょう。
生活防衛資金がまだ貯まっていない場合は、無理に投資を始める必要はありません。まずは現金を貯蓄してから余剰資金で投資を始めるようにしてください。
貯金が苦手な方は、毎月の給料から一定額を自動で貯蓄するなど、無理なく貯金することも重要です。
加えて、転職やスキルアップなどにより、収入を増やせば、投資の効果を高めることができます。
30代は、結婚や出産、住宅の購入など大きなライフイベントが控えている方が増えてくる年代です。
これから投資をしようと考えている場合は、ライフイベントに必要な資金の目標額を明確にしましょう。
例えば、「5年後に住宅の頭金として500万円貯める」「子どもの出産・育児のために200万円用意する」といった具体的な目標を設定することで、必要な支出を現金として確保し、その他の資金は余剰資金として投資に回します。
ポートフォリオ自体は株式や投資信託など成長性重視で問題ありませんが、目標達成時期に合わせて確実性の高い現金や債券の比率を少しずつ増やしておきましょう。
40代は収入が増える反面、子どもの教育費や親の介護など支出が増える傾向にあるため、資産を大きく減らさない視点が重要になります。
一般的に、現金比率を30〜50%程度まで高める方が多くなり、これまでの投資利益の一部を現金化しておくことも有効です。
ポートフォリオを組む際は、株式などのリスク資産の比率を減らし、債券や現金などの安全資産の割合を増やす方向へ調整します。FXなどのレバレッジ取引をする場合は、ロットを上げすぎないように注意しましょう。
取引におけるレバレッジ:初心者トレーダーのための重要なヒント
50代は定年退職が迫っているため、資産を減らさない運用が最優先事項です。一度の大きな失敗が致命傷になるため、生活防衛資金に加え、退職後の生活費も確保しておく必要があります。
年金や退職金を考慮し、不足する老後資金を計算した上で、株式などのリスク資産の割合を極力減らし、現金や安全資産を主体とした守りのポートフォリオに移行しましょう。
ただし、資産を全額現金を持つことは推奨できません。日本の年金制度や社会保障が今後も同じ条件で続くとは限らず、物価の上昇(インフレ)により現金の価値が下がることも考えられるからです。
投資をする際に現金をいくら残すかについては、現在の世帯の状況によっても異なります。
ここからは、世帯別に現金をいくら残しておくべきか解説します。
単身世帯は、投資に回す金額や現金の比率もすべて自分で決められるため、自分のリスク許容度やライフプランに合わせて柔軟に調整できます。
まずは、急な病気やケガ、失業など、自分に何かあった場合でも、頼れる方がいないため、十分な現金を用意しておくことが重要です。
生活費の6ヵ月〜1年を目安に生活防衛資金を確保して、残りの余剰資金を積極的に投資に回せます。
ただし、余剰資金を全額投資に回すのではなく、将来のライフプランの資金として貯金しておくことも重要です。
夫婦世帯では、二人分の収入を合算して家計を管理するため、単身世帯よりも資金に余裕が生まれやすい傾向があります。
しかし、同時に二人のライフプランや価値観をすり合わせながら、資産運用を進めなければなりません。
夫婦世帯で現金をどのくらい持つべきか考える際は、二人分の生活防衛資金を確保することが重要です。そうすることで、片方が病気や失業などで収入が途絶えても、もう一方の収入と貯蓄で生活できます。
また、将来的に住宅購入や子どもの出産に備えて、必要な資金を現金で準備しておきましょう。そのためには、二人で協力して目標を達成する意識が大切です。
例えば、夫の収入から毎月一定額を投資に回し、妻の収入から現金で貯蓄するといったように、役割分担を決めることも一つの手です。夫婦世帯では、二人分の生活防衛資金を確保し、ライフプランについて話し合いながら資産形成を進めることが重要です。
投資に回すお金と手元に残す現金の割合を決めるには、やみくもに行うのではなく、順序立てて考えることが大切です。

以下の手順に沿って考えることで、無理なく計画的な資産運用ができます。
各手順について詳しく見ていきましょう。
投資を始める前に、まずはご自身の家計を正確に把握するために、毎月いくら収入があり、いくら支出しているかを確認しましょう。
そして、収入から支出を引いて、毎月いくら余剰資金があるかを把握します。収支が赤字の場合は、投資を始める前に支出を見直しましょう。
主な支出項目は以下の通りです。
| 固定費 | ・家賃 ・通信費 ・サブスク代 ・保険料 |
| 変動費 | ・水道光熱費 ・食費 ・交際費 ・レジャー費 ・趣味の費用 |
まずは、一度見直せば継続的に節約効果が期待できる固定費から見直しをしましょう。
また、節約できる金額が高いものを優先したほうが、継続しやすくなります。家計の収支を正確に把握することで、無理のない投資計画を立てやすくなります。
次に、投資の目的を明確にしましょう。目的が明確になることで、その目標を達成するためにどのくらいのリスクを取るべきかが見えてきます。
例えば、「10年後に子どもの大学費用として500万円貯めたい」「老後の生活費として、30年後に3000万円の資産を築きたい」といったように、いつまでに、いくら必要かを具体的に決めることが重要です。
投資の目的を明確にすることで、現金と投資資産のバランスを決めやすくなります。
続いて、毎月いくら投資に回せるかを計算しましょう。
余剰資金-(生活防衛資金+ライフイベントなどに必要な資金)=投資に回せるお金
計算によって、無理のない範囲で継続できる投資額を見つけられるため、途中で挫折することなく投資を続けやすくなります。
また、全額を投資に回す必要はなく、ご自身のリスク許容度や性格も考慮して、現金も確保しておきましょう。
一度決めた投資割合やポートフォリオ(資産の組み合わせ)は、そのままにしておくのではなく、定期的に見直すことが大切です。
なぜなら、投資先の資産価値が変動することで、当初決めた現金と投資資産の割合が変わることがあるからです。
例えば、投資と現金のバランスを50%ずつに設定した後に、株価が上昇して現金40%、投資60%になってしまうこともあります。
このようなときにリスクを抑えるために、増えた投資資産を一部売却して現金に戻すことで値下がりした場合の損失リスクを減らしやすくなります。
リバランスのタイミングは、一般的に半年から1年に1回程度が目安です。
投資を検討する際には、いくらを運用に回すかだけでなく、どの程度の現金を手元に残しておくかを事前に考えることが重要です。
年齢や世帯構成、ライフイベント、収入の安定性によって適切な現金比率は異なるため、一般的な目安にとらわれすぎず、自身の状況に合ったバランスを検討しましょう。
本記事で紹介した考え方はあくまで判断材料の一つです。最終的には、ご自身のライフプランやリスク許容度を踏まえたうえで、無理のない資産管理を心がけることが大切です。
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